監督の言葉

監督 佐野 翔音(さの しょうおん)
監督 佐野 翔音(さの しょうおん)
私は長年、企業映像の演出を本職としていますが、どんな映像を創るときでも、常に、何かを見る人に伝えようと作品を創ってきました。
今回の映画は、初めてスポンサーなしで、仲間や応援してくださる方々と創りましたが、この映画にも私たちの想いが込められています。
それが、観ていただく皆様に少しでも伝わればと思っています。
私が創る映像は、ドキュメンタリーの形態をとることが多いのですが、この映画も、当初はドキュメンタリー映画としての製作を考えていました。 しかし、子どもシェルター、児童養護施設、社会的養護にかかわるNPO などを取材する中で、大きな壁にぶつかりました。
それは、虐待を受けた子供やその親の顔を見せられないということでした。
また、仮に顔を見せての出演を協力してもらえたとしても、虐待は深刻な問題なので、その当事者の人生に影響を及ぼしかねません。 様々なやり方を考えましたが、顔を見せられないことはドキュメンタリーとして限界がありました。
制作手法で悩む日々が続きましたが、その後、仕事で「子どもシェルター紹介ムービー」をドラマとして制作したことをきっかけに、考えを変えました。
ドキュメンタリーではなく、劇映画を創ることに方針転換をしたのです。
ただ、劇映画にしても、出来るだけリアリティのあるドキュメンタリーのような作品を創ろうと決め、演出方法を考えました。
シナリオは作るのですが、出演者には撮影当日、一旦シナリオは忘れてもらい、演じる瞬間に芽生えた感情を芝居に乗せてもらうよう演出しました。
出演者は、プロ劇団の役者、アマチュア演劇経験者に加え、虐待の当事者を実際に支えている弁護士の先生、さらに演技未経験の方もいましたが、皆、演出の意図をよく理解してくれました。
その結果、劇映画にもかかわらず、ドキュメンタリーのように見える部分もありますが、それも演出であり、この映画は全て創作です。フィクションです。
これが、今回の映画創りでした。
もうひとつ、映画を創るにあたって決めていたことがあります。 それは、重く悲惨な映画にはしない、ということでした。
今、現実の社会で起きている虐待は、本当に悲しい出来事です。 その虐待の現実をそのまま伝えるような映画には、したくなかったからです。
『わたし、生きてていいのかな』は、劇映画、ドキュメンタリーというようなジャンルを考えずに観ていただければと思います。
とても小さな映画ですが、何かを感じていただければ嬉しいです。
佐野翔音(さの しょうおん)

 

 

office SORAIRO (映画製作チーム・Sunshine)

  担当 佐野

 

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